なぜなら

「どうしたの?」

「どうしたのって、リン……昨日何してた?」

「えっ、昨日は普通に学校いってたよ」


そう言いながらユウの髪はこんなに長かったものか、と考える。

「…そのあとは?」


「部活なかったら買い物に出かけて、ゲーセンよって…」

「それで?家へはどう帰った?」

「普通に自転車で帰った…はず…」

あれ?ワタシ、家に帰ったっけ?まず家のドアに触れたっけ?

まるでぬぐい取られたかのようにそこだけ記憶がない。


「リン…これみて」

ユウがそういって取り出したのは携帯。


「かわいい待受だね」

「そうじゃなくて日付」


「えっ」

私は言葉を失った。

そこに記されてたのはワタシが昨日見た日付の1年後だった。

「リン…あなたは…」

そうか。

お母さんが無視したと思ったのも

教室で誰にも気づかれなかったのも

マリに声をかけてもらえなかったのも

中庭での女の子に驚かれたのも

全部

全部


< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop