なぜなら
「どうしたの?」
「どうしたのって、リン……昨日何してた?」
「えっ、昨日は普通に学校いってたよ」
そう言いながらユウの髪はこんなに長かったものか、と考える。
「…そのあとは?」
「部活なかったら買い物に出かけて、ゲーセンよって…」
「それで?家へはどう帰った?」
「普通に自転車で帰った…はず…」
あれ?ワタシ、家に帰ったっけ?まず家のドアに触れたっけ?
まるでぬぐい取られたかのようにそこだけ記憶がない。
「リン…これみて」
ユウがそういって取り出したのは携帯。
「かわいい待受だね」
「そうじゃなくて日付」
「えっ」
私は言葉を失った。
そこに記されてたのはワタシが昨日見た日付の1年後だった。
「リン…あなたは…」
そうか。
お母さんが無視したと思ったのも
教室で誰にも気づかれなかったのも
マリに声をかけてもらえなかったのも
中庭での女の子に驚かれたのも
全部
全部