溺愛ドクターは恋情を止められない

「俺も、小さい頃体が弱くて、助けられた命の方なんだ。だから医者になりたいと思った。だけど、想像以上に救えない命があることに愕然とした」


そう、だったんだ。
今は体もがっちりしていて、とても病弱には見えない。


「俺がこうして生きているのは、あの時の先生のおかげ。医者の技量で、命の行く末が決まるなんて、本当は怖い。だけど……こんな俺でも、いなければ救えない命もあるのかもしれないな」


その時の先生の優しい顔は、きっと忘れない。


「そうです。そうですよ、先生。私にはできないことが先生にはできる。母は助からなかったけれど、あの時手を尽くしてくれた先生には感謝してます。きっと、母もそうだったと思うんです」
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