溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦ちゃん。打ち込むから、カルテ表示しておいて」
「はい」
小谷先生が担当した患者のIDを確認して、キーボードを叩き始めると、「はぁ。過酷」と大きな溜息をついた先生は、コーヒー片手に隣にどさっと座った。
「お疲れ様です」
「そんな風に言ってくれるのは、松浦ちゃんだけだよ。皆、働け働けのオンパレード」
クスクス笑う彼は、ブラックコーヒーを口にする。
「お疲れの時は、甘いコーヒーを飲まれては?」
「あはは。松浦ちゃんって、高原みたいなこと言うんだな」
「えっ?」
高原先生の名前が出て、一瞬ドキッとする。
「アイツ、疲れた脳には糖分をと、いつも言ってる。まぁ、それがアイツのプロ意識の高さなんだろうけど」
高原先生と小谷先生は、同期ということもあり、仲がいい。