溺愛ドクターは恋情を止められない
「大丈夫。麻酔が効いているから眠ってるけど、後遺症もなさそうだ」
すると彼は、私の気持ちをわかっているかのような返事をしてくれた。
「よかった」
思わず大きな溜息が出ると同時に、目頭が熱くなる。
「松浦」
「はい」
「医者になって、やっぱりよかったよ」
そう優しく微笑む高原先生を見て、自然と顔がほころんだ。
「はい。お疲れ様でした」
恭平君を助けてくれた感謝の意味も込めて深く頭を下げると「松浦もお疲れ」と声をかけてくれた。
夜勤は小谷先生だった。
引継ぎに来た彼は「松浦ちゃん、お疲れ」といつものようにハイテンション。
小谷先生はあれから、交際を迫るような言葉を言わないし、今はとてもいい距離を保っている。