溺愛ドクターは恋情を止められない

だけど、このまま返事をしないでおくということはできない。
思い切って仕事帰りに那美を食事に誘って相談すると、驚いてしばらく固まっていた。


「ちょっと、いい感じじゃない」

「……うん。でも」

「なによ、その返事は。小谷先生、すごい人気なんだから。なに? 他に気になる人、いるの?」


『気になる人』と言われ、頭に浮かんだのは、高原先生の笑顔。
でも、私にはとても手の届かない人。


小谷先生の人気は耳にしていた。
人当たりも良く、いつもニコニコしていて、容姿も申し分なく……。

事務員の中でも、彼の噂をする人は多い。


「うーん」


返事を濁していると、那美は「はーっ」と溜息をついた。


「噂が気になるか」

「噂?」

「小谷先生の女遍歴」
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