溺愛ドクターは恋情を止められない
そりぁ、気にならないと言ったら嘘になるけど、今のところそんな影は見られない。
「那美、なんか知ってるの?」
「うーん。実は私、薬局で働いている薬剤師と付き合い始めて……」
今度目を丸くするのは私の方。
「ちょっと、知らなかったわよ!」
「うん。だってまだ二回しかデートしてないもん。恥ずかしくて言えなかったの」
どの人だろう。
何度も薬を取りに行ったことはある。
だけど、薬剤師の数はかなり多く、名前を聞いてもわからなかった。
「おめでとう。今度探そ」
「ヤダ。紹介するから」
友達のうれしい話に、気持ちも高揚する。だけど……。
「浩一(こういち)さんが言ってた話ではね」
その薬剤師は野上総合に勤務して五年らしく、私達より内情を知っている。