溺愛ドクターは恋情を止められない
「小谷先生には、切れることなく女の人がいるみたい。ナースがやっぱり多いらしいから、揉めたこともあるんだって」
「そっ、か……」
小谷先生自身が、遊んでいたこともあったと言っていたから、さほど驚きはしなかった。
でも、『揉めた』というのが気になる。
「ごめん、こんな話。でも知っておいた方がいいと思うの」
那美の言う通り。
交際の返事をした後で知ったら、ショックかもしれない。
「でも、過去の話だから。都に夢中で、心入れ替えたかもよ?」
「うん……」
今は、ラインを頻繁にくれるし、他の女性の影を感じたことはない。
たしかに過去の話なのかも。
那美の話を聞きながら、運ばれてきたナポリタンスパゲティを食べ始めると、その中のソーセージに気がついて、心臓がコトンと小さな音を立てた。
あのソーセージ、すごく辛かったな。
私が気になるのは、小谷先生の過去ではなく……。
だけど、どうしても那美には言えなかった。