溺愛ドクターは恋情を止められない
清春君が起きると、少しだけキャッチボールを楽しみ帰ることにした。
清春君は「まだ遊ぶ」とただをこねたけれど、体調が一番。
広場から車まで戻るとき、清春君が片方は高原先生の手、もう片方は私の手を握るから、まるで先生と私の本当の子になった様な錯覚を覚えてしまう。
「都、持つよ」
「えっ?」
突然先生に『都』と呼ばれ、胸の高鳴りを抑えきれない。
演技だとわかっているのに。
「はい」
彼は私から弁当箱の入ったバッグを受け取った。
「ねー、また来ようね」
「そうだな」
清春君の笑顔が、太陽に負けないくらい輝いている。
「都もだよ」
「うん」
こうして三人で、また来ることができたら……すごく幸せなのに。
そんなことを考えながら、ほんのひとときの幸せを味わった。