溺愛ドクターは恋情を止められない
清春君を送り届けると、迎えに出てきたお母さんに飛びつき、「楽しかった」を連発している。
「本当にありがとうございました。この子がこんなに笑顔なのは、久しぶりです」
お母さんは清春君の両肩に手を置くと、うれしそうに目を細めた。
「いえ。清春、また遊ぼうな」
高原先生は、清春君の目線に合うように腰を折って話しかける。
「うん。都もだよ」
「もちろん」
「ちょっと清春。都さんです」
呼び捨ての清春君を慌ててたしなめるお母さんが、目にうっすら涙を浮かべているから驚いてしまった。
「それでは」
名残惜しかったけれど、再び車に乗り込むと、清春君の姿が見えなくなるまで手を振り、窓を閉める。
すると、高原先生が口を開いた。
「清春……学校でいじめられてるんだ」
「そんな」
あんなにかわいらしい笑顔を見せてくれたのに。
驚きすぎて、唖然とするばかりだ。
「せっかく社会に戻れたのに、体は小さくて言うことも幼い。周りと合わないんだろう」