溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦。ちょっと外の空気吸ってくる。なにかあったら呼んでくれる?」
「はい」
高原先生は聴診器を白衣のポケットに入れ、出ていった。
「松浦って、高原と仲いいの?」
「えっ? いえ……」
小谷先生の牽制するような言い方に、心臓がドクンと音を立てる。
「そっか。それじゃ、病棟戻るわ」
「はい。お疲れ様でした」
私が頭を下げると、肩をポンと叩いた小谷先生は救急を出て行った。
私のほのかな恋心に、気づかれたのかもしれない。
きちんと小谷先生の告白は断らなければ。
今はどうしても、高原先生のことしか目に入らないから。
それから、加賀さんと交代で昼休憩に入った。
忙しいときは休憩すらままならないけれど、交通事故の患者以来、救急要請はない。