溺愛ドクターは恋情を止められない
【電話持たされてるけど、病院は出られそうだ。飯行かない?】
道端でスマホを握りしめ、しばらく動けなかった。
はっきり、交際を断らなくては。
小谷先生も素敵な人だけど、私は自分の気持ちに気がついてしまった。
【わかりました。今、コンビニの前あたりなのですが】
駅までにひとつコンビニがある。
小谷先生も知っているはず。
【了解。迎えに行くから待ってて】
それから十分ほど待つと、小谷先生の車が見えた。
「お待たせ。乗って」
「はい」
小谷先生の車に乗るのはこれが二度目。
必要以上に緊張してしまうのは、言わなければならないことがあるから。
「さて、どこ行こうか」
手に汗握る私と対照的な彼は、いつもとなんら変わりない様子で、車を発進させた。