溺愛ドクターは恋情を止められない
「おいしいです」
素直に感想を述べると、先生はうれしそうに微笑んだ。
「よかった。無理矢理連れてきたから」
「いえ、そんな……」
たしかに小谷先生は、グイグイ人を引っ張っていくタイプ。
だけど、このレストランに連れてこられてイヤだったわけではない。
「今日はお疲れだったね」
次々と運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら、彼は話し始めた。
「いえ。先生、いつも大変ですね」
「まぁ、まだやっと医師と名乗れるようになったばかりだしね」
後期研修とはいえ、もう一人前のドクター。
戦力として数えられている。
「今日の患者さんは残念だったな。高原、あんなに頑張ったのに」
ドクターの目から見ても、高原先生の命への執念は相当なのかもしれない。