溺愛ドクターは恋情を止められない
「そうですね」
返事をしながら、意識が高原先生に飛んだ。
本当に素敵なドクターだと思う。
「高原のこと、考えてる?」
「えっ? ……いえ」
突然指摘されて焦る。
小谷先生と視線が合わせられない。
「でも、すごく仲がよさそうに見えたけど?」
「そんなことないです。私、患者さんが亡くなると気持ちが沈んでしまうので、高原先生が心配してくださっただけで……」
必死に言い訳をしていた。
高原先生への恋心を知られたくない。
「そっか……」
すると小谷先生は、あっさり引いてくれた。
その後は、病院の話で盛り上がった。
「整形外科ってよく関節に注射してますよね」
「うんうん。よく知ってるね」
「あれ、すごく痛そうで……」
何度か見たことがあるけれど、見ているだけで怖い。