溺愛ドクターは恋情を止められない
「先生、あの……」
意を決して口を開いた。
このままではいけない。でも……。
「高原はやめておけ」
思わず小谷先生の顔に視線を移すと、彼は私を真っ直ぐに見つめて真剣な顔。
「アイツには酒井がいる」
息が……止まった。
そういう噂は聞いていたし、お似合いだと思ったけれど……それはあくまで噂だと思っていた。
だって高原先生は公園で、あんなに熱い眼差しを向けてくれたから。
でも、きっと長く一緒に仕事をしている小谷先生は、真実を知っているはず。
「高原は、酒井とは別れられない」
高原先生の部屋から出てきた酒井先生の姿が頭に浮かんだ。
高原先生はあの時も、部屋にあげてくれたのに。資料を頼んだだけだと。
頭が真っ白になって、デザートなんて食べられない。
フォークを握りしめたままうつむいた。