溺愛ドクターは恋情を止められない
「やっぱり、そうか」
「違います」
そう否定するので精一杯。
高原先生は、私なんかが憧れてはいけない人。
目の前に小谷先生がいるのに、高原先生の顔ばかりが頭に浮かぶ。
私……いつの間に、こんなに好きになっていたのだろう。
泣きたいけど泣けない。
小谷先生に否定したところだから。
「それなら、俺と付き合ってくれないか」
小谷先生は、再び私に交際を申し込んできた。
「噂、聞いてるだろ?」
「えっ?」
「俺の女の噂」
ハッとして彼を見つめると、彼は苦い顔をした。
「前にも言ったけど、今まで途切れることなく女がいた。ただ、そこまで深く愛していたわけではない」
小谷先生は完全にフォークを置いて、私から目をそらさない。