溺愛ドクターは恋情を止められない
「都、お疲れ」
一足先に着替えていたのは、那美。
「ふぅ。まだ五日目なのに、もう疲れちゃったわ」
「そうだね。ホント」
配属されたばかりで緊張が解けないのはあるとしても、誰かの命が失われる瞬間に居合わせるのは、精神的なダメージも大きい。
毎日重篤な患者に向き合って、夜勤もこなすドクターやナースが信じられない。
「今日、金曜だし、飲みに行かない?」
「あー、今日はやめとく」
さやかちゃんのことが頭から離れなくて、とてもそんな気にはなれない。
「付き合い悪いなぁ。ね。今日の研修医の先生、誰だったの?」
「うん。外科の高原先生と、内科の池下先生」
「それで、どんな先生だった?」
会計の那美は、ドクターと顔を合わせることはほとんどなく、私のことをうらやましいと思っているらしい。