溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦」
パソコンの入力作業をしていると、高原先生がやって来た。
「ホントに悪かったな。大丈夫か?」
「はい。ちょっと動いてしまって、ごめんなさい」
「いや、十分だ」
心配そうに私を見つめる先生は、「気分悪くないか?」と心配してくれる。
「大丈夫です。ちょっと緊張しましたけど、先生達の偉大さが改めてわかりました」
今日は傷を縫合しただけ。
心臓のオペなんて、比べ物にならないくらい難しいだろう。
それを日々こなしている先生に頭が下がる。
「そんなことないさ。松浦がいないと、IDの作り方もわからない」
先生は優しい。
だけど今日は、その優しさが辛かった。
彼にこれ以上魅かれてはいけない。
「高原先生、ありがと。助かったわ」
そこへ酒井先生が入ってきた。
酒井先生の方もひと段落したようだ。