溺愛ドクターは恋情を止められない

「あれ、随分沈んでるんだね。小谷先生が身辺整理してるってことは、都に本気なんじゃないの?」


私はなにも言えなかった。


「ナースと付き合うと、別れるときに気まずくなるでしょ? だから今までは、はっきりと別れを言いださず、次の人にって感じだったらしいんだけど……今回は別みたい」


那美の話を聞いて、昨日の小谷先生の話が嘘ではないと確信した。


「でも、やっぱり無理、か……」


浮かない様子の私を見て、那美は声のトーンを下げる。


「小谷先生は、本気だって言ってくれた。今までのことも正直に話してくれたし、女は全部切ってきたって……」


多数の彼女がいたことは、決して自慢できることではない。
今は私のことを見てくれていたとしても、未来はわからないという不安もある。

でも、問題はそこじゃない。
< 186 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop