溺愛ドクターは恋情を止められない
勘違いして、恥ずかしい。
ちょっと優しくしてもらえたからって、舞い上がっていた。
高原先生に、その気なんてなかったのに。
「そうだね」
那美の話に相槌を打ちながら、カルボナーラを口に運ぶけれど、大量の血を見た後だからかあまり食べたくない。
「でも、あのふたり、本当にうまくいってるのかな」
那美が気になることを言いだして、思わず手を止めた。
「どういう、こと?」
「うん。酒井先生の方は、高原先生に対して積極的なんだけど、高原先生はそうでもないって噂だよ。まぁ、高原先生クールだし、案外ツンデレなのかもしれないけどね」
勝手な想像をしてクスクス笑う那美は、エビドリアを食べ終わった。
「どうかな……」
高原先生は、酒井先生の誘いをサラリと断ってはいたけれど、もしかしたら本当にカンファレンスが入ったのかもしれないし。
どう考えても、私の入り込む隙なんて見当たらなかった。