溺愛ドクターは恋情を止められない
「でも、小谷先生のこと、どうするの?」
那美は核心に触れてきた。
「お断りするつもり」
というか、もう断ったのだけど。
だけど、小谷先生は時間が欲しいと言うだけで、納得してくれなかった。
「そっか。もったいない。今回は本気なんじゃないかって、皆噂してたのに」
「……うん」
小谷先生は、きっと本気で私に向き合ってくれている。
そうでなければ自分の良くない過去をさらけ出して、頭を下げたりする必要はない。
ただの噂だよとごまかして、付き合うことだってできたかもしれないのに。
「でも、断るのも大変だよね。一緒に働いてるとさ」
週に何度も顔を合わせると、やっぱり気まずい。
でも、高原先生の前で、小谷先生と付き合うなんて考えられなかった。