溺愛ドクターは恋情を止められない
「うん。まぁ、頑張るよ」
そんな曖昧にしか返事ができなかったけれど、那美は納得してくれた。
結局、カルボナーラを半分以上残してしまった。
食欲がないのは、血のせいなのか、それとも……。
那美と別れて家に向かう途中、天気が良くて澄んだ空には、キラキラと星が瞬いていた。
私を照らす上弦の月は、柔らかい光を放っていて、張りつめていた心を緩めてくれる気がした。
マンションのエントランスに備え付けられている郵便受けを開けてみるのは、いつもの習慣。
「なに、これ?」
鍵を解除して開けると、その中には飴が一粒入っていた。
そして……。
封の開いた封筒の中には……おそらく清春君が書いたと思われる絵。
清春君を間に、私と先生と三人が手をつないでいる絵が。