溺愛ドクターは恋情を止められない

「すごく、上手」


三年生とは思えないほど完成度の高い絵の私は、満面の笑みだった。

そして、もう一枚、【お疲れ様。気分が悪くなったりしたら、すぐに連絡して。いつでもいいから。 高原】というメモを見つけた。


高原先生……。
慌ててエントランスを飛び出したけれど、彼の姿はない。

わざわざこのために?
カンファレンスは終わったの?

スマホを確認してみたけれど、着信もメールもない。

どうしよう。
こんなに優しくされたら、ますます好きになってしまう……。

忘れなくちゃいけないのに。


「疲れた時には、甘い物、か……」


いちごミルク味の飴を握りしめ、しばらく立ち尽くしていた。


部屋に帰ると、もう一度清春君の絵をまじまじと見つめる。

先生も清春君もいい笑顔をしていた。
あの時は、本当に楽しかった。
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