溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦……」
えっ……。
その瞬間、突然立ち上がった先生に腕を引かれ……。
「誰かにそばにいて欲しい」
抱き寄せられていた。
慌てて離れようとしたけれど、彼は解放してくれない。
それどころか、ますます腕の力を強める。
「先生……」
「俺は弱いんだ。松浦にそばにいて欲しい」
先生の苦しい胸の内を知ると、できれば癒してあげたいと思う。
だけど、私が好きなのは……。
「あっ、ごめんなさい」
その時背後からナースの声がして、小谷先生は慌てて私を解放した。
「失礼します」
気まずくなった私は、頭を下げて受付に戻った。
どうしよう。誤解されたかも……。
だけど、ムキになって否定することもできず、そのまま業務は終了した。