溺愛ドクターは恋情を止められない

次の日の帰り、更衣室に向かうと、那美が私を待ち構えていた。


「ちょっと、都」

「どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ。早く着替えて」


那美に急かされ着替えを済ませると、更衣室から連れ出された。
病院を出たところで、那美は立ち止まり、もう待てないとばかりに話を始めた。


「小谷先生と、どうなってるの?」

「どうって……なにも」


那美は怪訝な視線を私に向ける。


「浩一が言ってたんだけど……」

「うん」

「噂に、なってるよ」


ハッとした。
もしかして、小谷先生に抱き寄せられたのを見られてしまったから……。


「都が小谷先生の新しい彼女だって。元カノもそれを知って、奪われたと怒ってるみたい」


奪ったりしてない。
小谷先生の彼女でも、ない。

どうしたらいいだろう。
わざわざ元カノのところに行き「付き合ってません」なんて言うのもおかしい。
< 204 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop