溺愛ドクターは恋情を止められない

でも、今日は……。


「高原、先生……」


那美の耳に入るほど噂になっているということは、きっと高原先生の耳にも届いているに違いない。
勝手に涙がポロリと落ちていく。


「これで、よかったのか、な……」


高原先生にはどうしたって手が届かない。
小谷先生と付き合うつもりはないけれど、高原先生をあきらめるきっかけにはなるかもしれない。


「辛いよ、先生……」


誰かに恋い焦がれるということが、これほどまでに辛いことだと、初めて知った。
今の私には、清春君の絵を胸に抱いて、静かに涙を流すことしかできなかった。


次の朝、更衣室に向かうと、チラチラと私を盗み見ている同僚の視線を感じる。

噂が広まるのは速いもの。
特に色恋沙汰は、あっという間。
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