溺愛ドクターは恋情を止められない
決定的な失恋
それからすぐに、もう一度震える。
ラインだとばかり思ったら、今度は電話。しかも、高原先生からだった。
一度深呼吸してからボタンを操作する。
そういえば、今日のお礼も言えていない。
『松浦? よかった、つかまった』
「もしもし」と言う隙もなく、高原先生の声が飛び込んでくる。
「あの……」
なにか急用だろうか。
『今、どこ?』
「駅にいます」
『すぐに行くから、ちょっとだけ待ってくれない?』
「えっ……」
すぐに来る?
『それじゃ』
慌ただしく切れたスマホを唖然と見つめる。
それでも高原先生を待ってしまうのは、きっと好き、だから。
彼はそれから十五分ほどして車でやって来た。
「お待たせ。乗って?」
「はい」
訳もわからず、助手席に乗り込み、シートベルトを締める。
「あの……」
「飯、食いに行こう」
先生はチラッと私に視線を送り、優しく微笑む。
「……はい」