溺愛ドクターは恋情を止められない
「すごい、きれい……」
思わず声を漏らすと、彼も「そうだろ」と微笑んだ。
もしかして、落ち込む私のために、ここに連れてきてくれたの?
「あの、先生……」
「夕焼けって、どうしてオレンジ色なのか知ってるか?」
彼は私の言葉を遮り話し始めた。
「いえ……」
「光には長い波長と短い波長があるんだ。青い波長は短くて、赤は長い」
それは聞いたことがある。
「夕方になって、太陽との距離が長くなると青の波長は、短さゆえに遠すぎて届かなくなる。だけど、赤はチリにぶつかりながらもここまで届くんだ」
「詳しいんですね」
彼はベンチに座り、私も促した。
隣に座るだけで、心臓が張り裂けんばかりに鼓動を速める。