溺愛ドクターは恋情を止められない
思いっきり首を横に振ると、横目で私の様子を見た先生は、口角を上げ少しだけ笑った。
「松浦は、パスタ好き?」
その質問に頷いた私は、今、イタリアンレストランの一席に座っている。
「なににする?」
未だ、状況を飲み込めない私と、マイペースにメニューを覗き込む彼。
なんとなく温度差があるのは、気のせいだろうか。
だけど……。
「今日は、あまり……」
「ダメだ。どうせ食欲ないとか言うんだろ。でも、食べないとダメだ」
「えっ?」
今までとは少し違う、強い口調に驚く。
もしかして、私を心配してくれているの?
「医者の命令。じゃ、適当に頼むぞ」
すぐにウェイトレスを呼んだ彼は、トマトベースのパスタを注文してくれた。
でも、ウェイトレスが行ってしまうと、途端に沈黙が訪れて、緊張が走った。