溺愛ドクターは恋情を止められない
第3章

悲しい事実


「高原先生、消防からです」


それから五日。
消防からの一報の電話を取ったのは、私だった。

いつもの救急受け入れ要請。
スタッフが一斉に動き出す。

その日の救急は、高原先生と酒井先生のコンビ。


酒井先生はあれから冷たいけれど、仕方がない。
息のぴったり合ったふたりの様子は、誰の目から見ても”お似合い”だった。


「松浦、電話代わってくれ。子供をひとり受け入れる。外科でよろしく」

「はい」


救急隊員から一通り症状を聞き終えた高原先生が、事務的な手続きのために私に電話を代わる。

患者は、五歳になる男の子だった。

外科、ということは事故だろうか。
小さな子の救急受診は圧倒的に事故が多い。
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