溺愛ドクターは恋情を止められない

「先生、お水……」


高原先生は、ちょっと涙目になった私を尻目に、笑い転げている。


「もう!」

「ごめん、ごめん」


やっと返してくれたお水を飲み干すと、おかしくて私も笑ってしまった。


「やっと笑った」

「えっ?」

「笑ってるほうが、かわいいよ」


さっきまで笑い転げていた先生は、今度はにっこり微笑んでいる。

もしかして、気持ちが沈んでいた私を、盛り上げようとしてくれた?
そんな先生の心遣いは、とても温かかった。

結局、食欲がなかったはずなのに、先生のペースに乗せられて、一人前食べてしまった。


サッと伝票を持って立ち上がる高原先生は、私が財布を出そうとするのを制する。


「いいんでしょうか?」

「誘ったのは俺だから。楽しかったしね」
< 26 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop