溺愛ドクターは恋情を止められない
「先生、お水……」
高原先生は、ちょっと涙目になった私を尻目に、笑い転げている。
「もう!」
「ごめん、ごめん」
やっと返してくれたお水を飲み干すと、おかしくて私も笑ってしまった。
「やっと笑った」
「えっ?」
「笑ってるほうが、かわいいよ」
さっきまで笑い転げていた先生は、今度はにっこり微笑んでいる。
もしかして、気持ちが沈んでいた私を、盛り上げようとしてくれた?
そんな先生の心遣いは、とても温かかった。
結局、食欲がなかったはずなのに、先生のペースに乗せられて、一人前食べてしまった。
サッと伝票を持って立ち上がる高原先生は、私が財布を出そうとするのを制する。
「いいんでしょうか?」
「誘ったのは俺だから。楽しかったしね」