溺愛ドクターは恋情を止められない
「勝手に入ることは許しません」
高原先生の毅然とした声も聞こえてきて……。
早く、早くしなくちゃ。
私達の足はドンドン速まった。だけど……。
「ガシャン」という音に振り向くと、警備員と高原先生が廊下に倒れ込んでいる。
殴られた?
そして私達を見つけた父親は、すごい勢いで走ってきた。
「小谷、早く!」
すぐに立ち上がった高原先生も、走って来たけれど、父親には追いつかない。
エレベーターの前まで来ているのに、患者用のエレベーターは、動きがゆっくりで……。
「やめろ!」
ストレッチャーの前に立ちふさがった小谷先生も、あっという間に殴られ吹き飛ぶ。
この人……酔っている。
お酒の匂いがプンプンと漂い、目が血走って……。
「ダメ!」
気がつくと、男の子に覆いかぶさっていた。