溺愛ドクターは恋情を止められない
彼は、救急の合間にも、難しい医学書を広げて勉強していることも多い。
きっと手技を練習しているのだろう。
手を動かしている姿もしばしばみられる。
きっと、そうした努力の成果が現れている。
『ありがとう。松浦……平気か?』
「……はい」
本当は太陽が沈むのが怖い。
あの時のことを覚えていないのに、恐怖だけは蘇ってくる。
『すぐに行くなんて言っておいて、これから救急なんだ』
「夜勤もあるんですか?」
驚いた。
大変なオペは身も心もクタクタになるだろう。
それなのに、まだ休めないなんて。
『うん。でも明日は休みだから、頑張るよ』
「はい。無理しないで、ください」
救急が、高原先生達の努力で成り立っていることはわかっている。
それでも、彼等が倒れるようなことはあってはならない。