溺愛ドクターは恋情を止められない

新人一同を集めた会議室で、事務長がただ機械的に名前と配属を読み上げ始めた。


「松浦都(まつうらみやこ)さん、救急外来」


救急外来?

考えてもいなかった部署への配属を言い渡されると、一瞬、頭が真っ白になる。

救急といえば……救急車を受け入れ、最初に治療に当たるところ。
救急車、ということは、ひどい怪我とか、緊急性の高い病気の人が、運ばれる。


無理だ。
血が怖い私が、一番苦手な部署。


他科でも血を見てしまう機会はあるけれど、救急は特殊。
一刻一秒を争う場面も多く、事務員も処置室に出入りする。


研修の時、一度だけ行ったけど、先輩事務員が忙しそうに救急受付と処置室を行き来しているのを目の当たりにした。

だけど、血が苦手だからと配置換えしてくれるほど、社会は甘くない。
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