溺愛ドクターは恋情を止められない
ポロポロと涙がこぼれてくる。
その時の彼の辛い気持ちが乗り移ってしまったかのように。
「ありがとう、都。やっぱり都は俺の理解者だ」
彼の温かい手が、溢れ続けて止まらない涙を何度も拭ってくれる。
「見せてください」
「えっ?」
「奏多さんの傷、私に見せて」
彼の腕をギュッと握り、訴える。
もしも今でも苦しんでいるのだとしたら、私が彼の背中を押したい。
彼は小さくうなずくと、Tシャツの襟に手をかけ、一気に脱ぎ去った。
「怖かったら、見なくていい」
「ううん。平気です」
傷跡は、想像よりずっとひどいものだった。
メスを入れた部分はミミズ腫れになっていて、しかも数本ある。
ゆっくり手を伸ばして、指でその傷に触れると、彼は私の手を握った。