溺愛ドクターは恋情を止められない
「なにを考えてるの?」
届きそうで届かない彼の心の中が気になった。
ぐっすり眠ったはずなのに、彼の腕の中は心地が良くて、いつの間にか私まで眠っていた。
スマホが鳴って慌てて飛び起きると、奏多さんがいち早く手を伸ばし、出ている。
「わかりました。すぐに行きます」
病院からの呼び出しだ。
「ごめん、起こしたね」
「ううん。平気です。病院からですか?」
「うん。ちょっと行ってくる」
時計を見ると、もうすぐ十二時。
三時間くらいは眠れたはずだけど、徹夜明けだから心配だった。
「なんて顔してるんだ。大丈夫。その患者の処置が終わったら一旦家に帰るよ」
「うん」
彼はすぐに玄関まで行って靴を履いたけれど、見送りに出た私の手を引き、抱き寄せる。