溺愛ドクターは恋情を止められない
「だったら、松浦がそばにいることしか選択肢はないんだぞ。別れるという選択をしたら、高原はますます苦しくなる」
「小谷先生……」
彼は優しい。
彼ではなく、奏多さんを選んだというのに。
「もう、恋は始まってるんだ」
「俺、かっこいいこと言った」とクスクス笑う先生は、私の肩をポンと叩いた。
そう。私達の恋は、もう始まっている。
後戻りはできない。
それなら私が、奏多さんを守ればいい。
「小谷先生、酒井先生どこがご存じありませんか?」
「酒井なら、さっき帰っていくのを見かけたけど……」
「酒井先生のご自宅は? 自宅を知りませんか?」
突然立ち上がった私を唖然と見つめる彼は、「連れてってやるよ」と笑う。
「先生、お仕事は?」
「もう終わってる。車回すから、着替えて裏玄関に来い」