溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦、いいか。お前が死ぬようなことがあれば、誰が一番悲しむんだ」
小谷先生の言葉が胸に突き刺さる。
「ごめんなさい」
「二度と危険なことはするな。そんなこと、高原は望んでない」
「はい」
うつむいて唇を噛みしめる。
死ぬつもりだったわけじゃない。
だけど、もしもそうなったとしても、奏多さんの夢を叶えたいと、あの時思った。
「しょうがない。松浦の一生懸命さに免じて、高原に一緒に謝ってやる」
そう言ったときの小谷先生の顔からは、もう怒りが消えていた。
病院に着くと、夜間の職員玄関から外科病棟に上がった。
そして……。
「高原いますか?」
小谷先生がナースステーションで声をかけると、すぐに奥から奏多さんが顔を出した。
「松浦、お前……」
「話はあとだ。縫合が必要なのと、レントゲンを撮りたい。手配しくれ」