溺愛ドクターは恋情を止められない

ナースステーションの横にある処置室に入れられると、すぐにベッドに寝かされた。


「ドアに挟まれた。人差し指の傷がひどい」

「どうして……」


奏多さんの顔がゆがむのを見て、小谷先生に叱られたことを思い出す。
無謀なことをしてしまった。


「松浦、今から局所麻酔をして傷を縫合する。怖ければ、壁の方を向いていろ」

「はい」

「キシロカインと縫合セットを持ってきて」


ナースに指示を出した奏多さんは、私の横に座り、患部を診ている。
見ていないのも怖くて、チラッと視線を送ると、彼は私にタオルをかぶせた。


「心配するな。きれいに縫ってやる」


彼の技術は、小柴部長も認めるという。
実際、額の傷を内藤さんに見せたら、「すごくきれいに縫ってある」と驚いていた。
< 356 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop