溺愛ドクターは恋情を止められない
いつの間にか、あれほど怖かった血を克服していた。
それから十分ほどして、再び奏多さんが顔を出した。
そして、「整形から借りてきた」とギプスの型どりをして、固定してくれる。
「先生、なんでもできるんですね」
「そんなことないぞ。まぁ、このくらいはなんとかなるけどな」
ギプスと言っても、取り外しのできる添え木のようなもの。
それを包帯で巻いてくれる彼は、私の顔を一瞬見つめて、再び口を開く。
「小谷に聞いた。主治医としては叱り飛ばしたいところだけど、小谷が叱らないでくれって言うから……」
「これでよし」と最後にテープで止めてくれた奏多さんは、私の目をじっと見つめる。
「ありがとう、都」
「奏多さん……」
「だけど、もうこれ以上はダメだ。俺の心臓が持たない」
彼は、自分が治療したばかりの手を持ち上げ、唇を押し付ける。