溺愛ドクターは恋情を止められない
緊張しながらソファに座り、辺りをキョロキョロ見回していると、先生はさっき買ったカクテルとグラスを持ってきてくれた。
「どれにする?」
「あっ、あのっ……」
この部屋に足を踏み入れた瞬間から、胸がドキドキと激しく打ち始め、今に至る。
男の人の部屋でふたりきりでお酒を飲むなんて、やっぱり……。
「大丈夫だよ。襲ったりしない。職場の同僚にそんなことしたら、クビだろ」
先生は自分の喉に手をかざし、切る真似をしてみせる。
「……はい」
それはそうだけど。
「あーでも、小谷は気をつけろ。アイツはいいヤツだけど、女癖だけはどうも」
私をリラックスさせてくれようとしているのかもしれない。
クスクス笑うと、「俺はこれ」とコーラを手にした。
お酒、飲まないの?