溺愛ドクターは恋情を止められない
彼の家の近くのコンビニで下着を買い部屋に向かうと、彼がここに行くように言った訳がわかった。
奏多さんの存在を感じることができるこの部屋は、彼がいなくても心が落ち着く。
彼の使っているコップ。
テーブルに置きっぱなしにされたボールペン。
それがあるだけでも、奏多さんを身近に感じて、心強い。
そして、こうして部屋に入れてくれたことで、彼が別れるつもりはないと、言ってくれた気がした。
「あぁ、ケガだらけ」
額に指に……。
だけど一番痛むのは心。
それでも、もうどうすることもできなくなってしまった私には、奏多さんを信じて待つしかなかった。
ベッドに横たわると、大好きな人の匂いが私を安心させる。
あんなに興奮していたのに、目を閉じると眠気が襲ってきた。
「おやすみなさい、奏多さん」
仕事をしている彼に悪いと思いつつ、ヘトヘトに疲れていた私は、すぐに深い眠りについてしまった。