溺愛ドクターは恋情を止められない
朝、奏多さんから、傷を気遣うメールをもらった。
だけど、小谷先生からの連絡はなかった。
「都ー」
お昼を過ぎたころ、医事課から救急に戻る廊下で私に突進してきたのは……。
「清春、ダメって言ったでしょ!」
相変わらずかわいらしい清春君だった。
お母さんが焦って止めるのも、お構いなしだ。
「こんにちは。外来だったの?」
笑顔で挨拶をしたのに、清春君は顔をしかめる。
「都、どうしたの? 痛い?」
私の左手の包帯を見つけたのだ。
「ちょっとケガしちゃった。でも大丈夫だよ」
あとから追いついたお母さんに会釈すると、清春君はしゃがんだ私の頭を撫でてくれる。
「よしよし。頑張ったね」
「清春君……」
ずっと入院していたせいで、少しだけ精神年齢も低めだというけれど、本当に素直。