溺愛ドクターは恋情を止められない
「すみません。入院中、高原先生によく頭を撫でていただいていたんです」
そう、なんだ。
奏多さんの優しい気持ちがきちんと彼に伝わっている気がして、うれしくなった。
「都、先生がね」
「松浦さん、でしょ!」
お母さんが制するけれど、清春君は夢中になって話を続ける。
「また、一緒に公園行ってくれるって。都も一緒に」
「そっか。そうだね。行こうね」
「やったー!」
もう、最後かもしれない。
奏多さんがここを去るということは、清春君とは係われなくなるということ。
「すみません。本当によろしいですか?」
「はい。清春君。今度は、都がお弁当作るよ」
「ホントに?」
私に抱きついて大げさなほどに喜びを表現してくれる清春君が、かわいらしくてたまらなかった。