溺愛ドクターは恋情を止められない
感極まってしまい、泣きそうになって慌てて俯くと、彼は立ち上がって私の隣にやって来た。


「都を失いたくない」


しゃがみ込んで私の視線まで下りてきた彼は、私の頬を両手で包み込む。
昨日の話を、小谷先生から聞いているだろう彼の声は、少しだけ震えていた。


「ごめんなさい。奏多さんを守りたかった……」

「わかってるよ。わかってる」


そのまま彼の肩に顔を押し付け、嗚咽を漏らす。

あの時、小谷先生が止めてくれてよかった。
こうして奏多さんと、感情を共にできるのは、生きているからこそ。
それも、小谷先生のおかげ。


「都のおかげで、ひとつ提案を受けた」

「えっ?」


彼は顔を上げた私に微笑むと、立ち上がって玄関まで行き、バッグからなにかを取り出した。
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