溺愛ドクターは恋情を止められない
「こっち、来てごらん」
彼はそのままソファに向かい、私を呼ぶ。
小さなソファはふたり座ると満員になる。
「これ、なんですか?」
「小柴部長の、推薦状」
「小柴部長?」
ハッとして彼を見つめたけれど、彼は小さくうなずくだけ。
彼からその書類を受け取り、開いてみたけれど、すべて英文ですぐには内容がわからなかった。
「アメリカの心臓血管外科の権威に、俺を推薦してくれた書類だ」
「えっ?」
それは、どういうこと?
「うまくいけば、留学できる。まだ承諾されたわけじゃないけどな」
「奏多さん?」
「酒井が、部長に助言してくれたって。俺を外科から外すなって」
酒井先生が?
「部長は、もう少し日本で学んだら、一度海外を見て来いとずっと言ってた。少し時期は早すぎるけど……」
「それじゃあ!」