溺愛ドクターは恋情を止められない
「都……」
それからしばらくの間、彼はなにも言わず、私を見つめていた。
やっぱり、ダメ、かな。
せっかく彼と一緒にいられるようになったというのに、ワガママかもしれない。
「俺と、一緒か……」
「奏多さんと?」
彼の思いがけない言葉に首を傾げると、彼は優しく微笑んだ。
「ひとりでも多くの患者を救いたい。そうだろ?」
「……はい」
彼に出会わなければ、看護師になりたいなんて、思わなかっただろう。
血への恐怖は克服できたとはいえ、激務なのは知っているし、彼が悩むように、どうしても救えない命もある。
それでも……最後の最後まで手を尽くす彼に、出会ってしまったから。
「都の夢、応援する。でも……こうして抱きしめられないのは、辛い……」
彼はもう一度私を強く抱きしめる。