溺愛ドクターは恋情を止められない
クシャッとした顔で笑う彼は、「バカだな。まだまだ縛り方が甘い」と私の額にキスをする。
「きちんと治ったら、縛り付けて、粉々に壊してやる」
顔を斜めにして近づいてきた彼を見て、目を閉じる。
柔らかい彼の唇は、私をしびれさせた。
「都は俺だけを見ていればいい。他のことはなにも考えるな」
「はい」
私は必死に走るだけでいい。
きっと彼が導いてくれるから。
「あ、飯、途中だった」
「本当ですね」
「都を食べ損ねたし、もう少し食うか」
真っ赤になる私をクスクス笑う奏多さんは、私の手を取り、テーブルに戻る。
「都。俺がアメリカに行くまで、一緒に暮らそう」
「えっ?」
「なかなか一緒にいられない。一分一秒でも長く、都と一緒にいたい」
彼の言葉に胸が熱くなる。
本当に愛されていると感じるから。
声を出すこともままならないほど、幸せで満たされ大きくうなずくと、彼は照れくさそうに微笑み、再び箸を持った。