溺愛ドクターは恋情を止められない
「院長が、都なら推薦してもいいって。それに、授業料の一部を免除してもいいってさ。その代わり、野上でこき使われるのは覚悟しろって」
「えっ!」
もちろん、奏多さんが帰ってきたら、野上で働きたいけれど……。
「どうやら都を人質に取るつもりらしい」
人質?
そうか。
私が野上で働けば、彼も絶対に野上に帰ってくると踏んでいるんだ。
「なんてな。本当は都の能力、評価してくれてるんだ。救急でも熱心にナースにいろんなことを聞いていただろう?」
たしかに、聞きなれない専門用語を覚えたくて、内藤さんにはよく聞いていた。
今では先生達がナースに次に要求することもわかるようになったし、先生達が叫ぶ数値で、患者の状態をなんとなく把握することもできる。