溺愛ドクターは恋情を止められない

「その様子を師長が感心して見ていて、ナースを目指すなら是非欲しいって言ってたらしいぞ」

「師長が、そんなことを?」


全然知らなかった。
ナースに頼まれごとをしながら材料の名前を覚えたり、カルテを打ち込みながら、検査の意味を知ったりはしたけれど、師長になにか言われたことなんて一度もないから。


「都が頑張った証だよ。血を克服できただろう?」

「どうして、知っているんですか?」


彼に話したことはない。


「指を縫った時、倒れるんじゃないかとヒヤヒヤした。だけど、自分の指なのに、じっと見てたじゃないか。ああいう時は、気分が悪くなる人も多いんだぞ」


そう言われると、そうかもしれない。
自分でも驚くほど冷静だった。
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