溺愛ドクターは恋情を止められない
もしかしたら病院に向かうのかもしれないと思ったけれど、電話だけで済んだようだ。
でもやはり……束の間の休息なのに、邪魔してはいけない。
「やっぱり私……」
「帰るとか言うなよ」
「でも、先生やっと休めるのに。私はひとりでも大丈夫ですから。ごめんなさい、甘えてしまって」
グラスを置き立ち上がると、同じように立ち上がった先生に、手首をサッとつかまれてしまった。
そして、彼は真剣な目で私を見つめる。
「大丈夫、じゃないよな。言っただろ、我慢しなくていいって」
「先生……」
辛い時の優しい言葉は、心にしみる。
泣いてはいけないと自分にセーブをかけても、勝手に涙が溢れた。
「ごめんなさい。私……」
先生の言う通り。
ちっとも大丈夫なんかじゃない。